木戸 瞳さん 公募展で最優秀賞


 木戸さんの描いた洋画「希望の雫」が「第5回リリー・オンコロジー・オン・キャンバス がんと生きる、私の物語。絵画、写真コンテスト」の絵画部門で見事に最優勝賞に選ばれました。製薬会社・日本イーライリリー(神戸市)主催。

この公募展はがん患者やその家族を対象にしたもので、リリー・オンコロジー・オン・キャンバスは、 がんと告知された時の不安、がんと共に生きる決意、そしてがんの経験を通して変化した自身の生き方など、言葉だけでは伝えきれない想いを絵画や写真で表現する中で、多くの方々と分かち合って がんになっても自分らしく生きられる社会を実現することを目指し運営されています。「がんになって以来、生きていることが輝いて見える」と木戸さんは言われます。近年の表現テーマは「生命力」。今回の受賞作も審査員から「失われた臓器のことなど長年にわたって苦しむ中でも、希望を失わずに生きてきたことが表現されたみずみずしい作品」と高く評価されました。

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<木戸さんの作品に込めた思い>

2001年に子宮頸癌の告知を受けた瞬間は目の前が一瞬にして灰色になりました。目の前に映る色というのは気持ちでこんなに変わるのかと実感したのはそれが生まれて初めての体験でした。そして20代で子宮を全摘しなければならなくなったと知った時は、この現実を受け止めたくはないけれど、これは夢ではないから受け入れるしかない。というここまで突き付けられる現実というのもまた初めての体験でした。手術はお蔭様で無事に終わりましたが退院後の定期検診では、数値が高い事が多く11年間再発の恐れと向き合ってきましたが、ようやく原因が分かり数値も下がって2012年に検診も卒業となりました。癌によるショックは大きかったのですが、その体験で得たものもあります。周りを見渡せば、植物、動物、昆虫、太陽の光など生命力で溢れているものに囲まれていたんだと眩しい程に感じられるようになりました。よく散歩に行っては、朝日に涙したり、行列で忙しそうに働いている蟻、とても小さな野の花、蓮の花が咲いてから散るまでを日々観察したり、浜辺で砂の感触を感じたり...。まるで、子供のようですが自然の生命力に触れることの一つ一つが、心の栄養になっていくように感じています。そして私自身も今も生きていて家族と笑い合える日常があり、好きな絵を描く事が出来るのが嬉しく励みとなっています。絵を描く時はまるで自分の体と向き合っているような気持ちになります。自由に筆を進めていると、いつの間にか自分の体の臓器や細胞を描いているのではないか。という錯覚に陥ります。それともう一つは、癌と向き合っている間に感じるようになった様々な生命力を自分の力にして表現していきたいという思いがあります。癌になって失った臓器と傷付いた心に癌によって得たものが希望の雫となってこれからも自分らしく輝けるように信じて絵を描き続けていきたいと思います。